築30・40・50・60年の一戸建てに必要な耐震補強費用|補助金、減税などの優遇制度も紹介

築40年など古くなった一戸建てでこれからも暮らしていくために、「大地震でも倒壊しないように耐震補強をしたい。でも費用面が心配」とお悩みの方がいらっしゃると思います。
耐震補強の費用は高額ですが、国や自治体の補助金などをフル活用してお得に工事プランを組み立てましょう。
今回は栃木市や周辺市町村で耐震補強を含むフルリフォーム・リノベーションに対応している『とちぎリフォーム』が、古い一戸建ての耐震補強工事の内容や費用を、わかりやすく解説します。
将来の大地震に怯えない生活を手に入れるために、ぜひ最後までごらんください。
Contents
築30・40・50・60年の一戸建てに必要な耐震補強費用|築年数別の耐震性能も確認

耐震補強の検討が特に必要なのは、2000年以前に建築された一戸建て(大まかに築20〜30年以上の一戸建て)です。
理由は、2000年に建築基準法の耐震基準が大きく改正され、現在の基準に近い内容になったためです。
はじめに、「耐震補強工事の種類と費用の目安」「築年数から想定できる一戸建ての耐震性能」などを紹介します。
耐震補強工事の種類・費用の目安一覧
主な耐震補強工事の種類・費用の目安を、一覧表にまとめました。
耐震補強工事 | 費用の目安 |
---|---|
【構造部】 ・壁内に筋交いを設置 ・柱・梁の接合部を耐震金物で補強 ・建物の四隅を補強する部材を設置 ・腐食部位の修繕 ・基礎の補強 など | 軽度な補強:数万円/箇所 〜全体的な工事:300万円以上 |
【壁・床】 ・既存の壁・床を補強 ・耐力壁を増設 など | 軽度な補強:数万円/㎡ 〜全体的な工事:100万円以上 |
【屋根・天井】 ・天井面を構造用合板で補強 ・軽量の屋根材に交換 など | ・天井面の補強:30万円前後 ・屋根材の交換:100〜200万円前後 (30坪程度を想定) |
【外壁】 ・ヒビ・剥がれなどの修理 ・軽量の外壁材に交換 など | 軽度な補強:数万円/箇所 〜全体的な工事:50〜200万円 |
【外構】 ・ブロック塀の補強 ・擁壁の補強 など | 軽度な補強:数千円/㎡ 〜全体的な工事:1〜3万円/㎡ |
【地盤】 地盤の強化 | 30〜300万円前後 (30坪程度を想定) |
耐震補強の費用は、工事プラン・施工面積・依頼する施工業者などによって大きく変動します。
詳しい工事プラン・費用などは、耐震補強を依頼する施工業者へお問い合わせください。
築30年一戸建ての耐震性能・必要な耐震補強工事・費用

築20〜30年(特に2000年以前)の一戸建ては、以下の点を中心にして耐震補強のプランを検討してください。
耐震補強工事 | 費用の目安 |
---|---|
筋交い・柱の接合部に適切な耐震金物を使用 | 5〜20万円/箇所 |
耐力壁をバランスよく配置 | 20〜30万円/箇所 |
地盤の状態に応じた基礎にする | 30〜200万円 |
※住宅の状態によって、他の耐震補強工事が必要になる可能性があります。
また上記の費用は目安で、工事プランなどによって変動します。
上記は、2000年に建築基準法の耐震基準に追加された項目です。
実際に2016年に発生した熊本地震で、2000年以降の建築基準法に適応した住宅は被害率が低かったという調査結果も公表されています。
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について』>熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書<概要版>3ページ
築40年一戸建ての耐震性能・必要な耐震補強工事・費用
築40年を超える一戸建てで、特に1981年以前に建築された一戸建ては、上記に加えて以下の耐震補強を検討してください。
【特に1981年以前に建築された一戸建て】
耐震補強工事 | 費用の目安 |
---|---|
基礎の補強 | 数万円〜300万円以上 |
筋交いの交換 | 5〜20万円/箇所 |
柱の固定 | 数千〜3万円/箇所 |
※住宅の状態によって、他の耐震補強工事が必要になる可能性があります。
また上記の費用は目安で、工事プランなどによって変動します。
また、1981年以前に建築された一戸建ては、全体的に耐震性能に問題を抱えているケースがあり、耐震補強のプランによっては費用が1,000万円以上となる可能性があります。
1981年以前は、「建物が地震で簡単に倒壊・崩壊することはない」と経験的に考えられていました。
しかし、昭和に入ってからの大地震による建物被害が甚大だったため、1978年に発生した宮城県沖地震をきっかけに、耐震基準が強化されるようになりました。
現在は、建物が建築された年に応じて、建物の耐震性能を以下のように分類しています。
- 1981年以前の建物:旧耐震基準の建物
- 1981年以降の建物:新耐震基準の建物
築50年・60年一戸建ての耐震性能・必要な耐震補強工事・費用
築50年・60年以上(特に1978年以前)の一戸建ては、耐震性能が1軒ごとに大きく違います。
(例)
- 建築当時から耐震性能が低い状態
- 老朽化によって耐震性能が低くなった状態
- 伝統構法で強固に建築されていて、一定の耐震性能が確保されている状態
- 増築・減築によって住宅全体のバランスが崩れた状態 など
築50年・60年の一戸建てを部分的に耐震補強する費用は100〜300万円ほどが一般的で、大規模な耐震補強をする場合は、費用が1,000万円以上となるケースもあると考えておきましょう。
栃木市や周辺市町村で耐震補強を検討中の方は、とちぎリフォームへお問い合わせください。
ご予算などの要望を伺ったうえで住宅の現状を丁寧に確認し、最適なプランを提案いたします。
耐震補強に活用できる補助金・減税などの優遇制度、工事費用を抑える方法

耐震補強の工事内容と費用の目安を紹介してきましたが、「なるべく費用を抑えて耐震補強を実施したい」とお考えの方がたくさんいらっしゃると思います。
国・自治体が「良質な住宅をストック」するなどの目的で、耐震補強に活用できる補助金・減税制度などを実施しているため、一緒に確認しましょう。
補助金|補助金申請の注意点も紹介
国・自治体それぞれが、耐震補強に対する複数の補助金事業を実施しています。
国
古くなった一戸建ての耐震補強に活用できる補助金は、以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名称 | 長期優良住宅化リフォーム推進事業 |
補助額 | 最大210万円 |
補助金活用の注意点 | ・施工業者を通して申請 ・劣化対策・省エネ対策なども同時に実施 ・工事着手前にインスペクションが必要 など |
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『令和7年度 支援事業一覧』>長期優良住宅化リフォーム推進事業
耐震補強工事に直接活用できる国の補助金は上記の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」のみですが、別のリフォームとあわせて耐震補強を実施する場合には、全体の費用を抑えられる補助金があります。
- 子育てグリーン住宅支援事業
- サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)
- 住宅・建築物省エネ改修推進事業
- 既存建築物省エネ化推進事業
特に築40年以上の古い住宅は断熱性能などに問題を抱えているケースがあるため、リフォーム内容に応じて活用できる補助金があるかを施工業者へ相談してください。
自治体
各県・市町村も、独自に補助金事業を実施しています。
実施状況は自治体によって違うため、お住まいの自治体が実施している補助金を確認してください。
(例)栃木県・栃木市
- 耐震診断士派遣事業:無料で耐震診断を依頼できる
- 補強計画策定助成事業:耐震補強計画策定の費用を助成(上限8万円)
- 耐震改修助成事業:耐震補強工事の費用を助成(上限100万円)
- 耐震建替助成事業:耐震化を目的とした建て替え費用を助成(上限100万円)
こちらの記事で、栃木県で住宅リフォームを実施する際に活用できる補助金を確認できます。
〈関連ページ〉栃木県の住宅リフォーム補助金一覧|対象工事や宇都宮市など主要市の内容も紹介
減税などの優遇制度

補助金のほかに、耐震補強に活用できる優遇制度もあります。
- 住宅ローン減税:住宅ローンを利用してリフォームを実施する場合に所得税を減税
- 贈与税の非課税措置:ご両親・祖父母などから資金の贈与を受けてリフォームを実施する場合に贈与税を減税
- 【リ・バース60】耐震改修利子補給制度:耐震補強の際に利用するローンを無利子・低利子で利用可能
〈参考〉
・国土交通省ウェブサイト『令和7年度 支援事業一覧』
・住宅金融支援機構ホームページ【リ・バース60】耐震改修利子補給制度
耐震補強の費用を抑える方法
補助金や減税などの優遇制度は、耐震補強の費用を支払った後に支援を受ける流れとなります。
耐震補強の支払い費用自体を抑えたい場合には、以下の方法も検討してください。
- 工事面積・工事部位を限定する
- 工期が短い工法・工事プランを選択する
- 2〜3社に相談し、工事プラン・費用のバランスが良い施工業者を選択する
※耐震補強を依頼する施工業者の選び方は、のちほど「耐震補強を依頼する施工業者の選び方を知りたい」で紹介します。
工事部位を1階に絞ってリフォームした事例を、こちらの記事で確認できます。
〈関連ページ〉一階全面リフォームの費用の目安|500万・1000万でどこまでできるかを解説
実際に住宅の状態や予算に応じて耐震補強を実施した事例を、次に紹介します。
築40年以上など古い一戸建ての耐震補強事例
住宅の状態や予算に応じて耐震補強を含むリフォームを実施した事例は、以下のとおりです。
こちらは、老朽化した蔵の耐震補強をした事例です。
屋根の瓦・腐食した木材を交換し、梁の補強も実施しました。
ビフォー アフター
〈関連ページ〉刻を継ぎ、より貫禄のある蔵に。 経年で傷んだ屋根や外壁を改修
こちらは、2世帯同居をきっかけに、フルリフォームを実施した事例です。
「筋交いを入れる」などの耐震補強を実施しています。
ビフォー アフター
〈関連ページ〉孫と一緒に遊べる二世帯住宅リノベーション
こちらは、古民家をフルリフォームした事例です。
屋根の瓦交換・柱の調整・梁の補強などを実施しました。
〈関連ページ〉~粋な風合いとともに~
とちぎリフォームには、今回紹介しきれなかった事例がまだたくさんあります。
ぜひごらんください。
築40年以上など古い一戸建ての耐震補強費用Q&A

最後に、築40年以上など古い一戸建ての耐震補強を検討中の方から、とちぎリフォームがよくいただく質問・回答を紹介します。
Q.耐震補強を含むリフォームor建て替えどちらがいいの?
A.基本的には、リフォーム費用が建て替え費用を上回る場合は、建て替えを検討することをおすすめします。
理由は、大規模・高額なリフォームを実施しても、最新の住宅性能を再現するのが難しいためです。
ただし、建て替えをする場合は、「住宅ローン金利」など将来に渡る費用も発生するため、ご家族の状況に応じてリフォームor建て替えを検討してください。
Q.耐震補強は意味がないって本当?
A.耐震補強は、一戸建ての現状を正しく把握したうえで不足している耐震性能を適切に補うことで、効果を発揮します。
一方で「軟弱地盤を放置して住宅のみ耐震補強」のように適切なプランを組み立てできない場合は、効果を発揮しないケースもあります。
Q.耐震補強を依頼する施工業者の選び方を知りたい

A.耐震補強を依頼する施工業者を選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
- 耐震補強の実績が豊富な施工業者を選ぶ
- 築40年以上の古い一戸建ての、大規模なリフォームの実績が豊富な施工業者を選ぶ
- 国の補助金申請が可能な施工業者を選ぶ
- 予算に応じてプランをカスタマイズできる、提案力のある施工業者を選ぶ
- 丁寧なアフターフォロー体制を整えている施工業者を選ぶ
Q築40年の一戸建てを耐震補強したらあと何年住める?
A.築40年の一戸建てを耐震補強した後は、10〜20年以上住める可能性があります。
住宅の寿命はメンテナンス次第で変動するため、耐震補強をした後も、住宅の状況に応じてメンテナンスしていく必要があることを念頭に置いておきましょう。
こちらの記事で、リフォーム後の一戸建ての寿命を確認できます。
〈関連ページ〉築30年の戸建てはリフォームで何年住める?費用相場や検討したい改修ポイントを解説
Q.耐震補強と他のリフォームは同時に実施するべき?
A.一般的に、以下のような工事プランの場合は、断熱性向上などのリフォームもあわせて実施することで、全体の費用を抑えられる可能性があります。
- 壁・床を解体する必要のあるプラン
- 足場設置が必要なプラン
特に以下のようなリフォームは補助金を活用できる可能性があるため、住宅の状況に応じてリフォームプランを検討してください。
- 断熱性向上
- 省エネ性能向上
- バリアフリー性向上
- 防犯性向上
- 多世帯同居対応 など
Q.耐震補強工事の見積もり書が適正かどうかわからない

A.見積もり書は、以下のような内容を確認してください。
- 使用建材の数・仕様など
- 工期
- 施工面積
- 技術者の人数
- 工事内容ごとの合計額
- 諸費用 など
2〜3社に見積もり書の作成を依頼すると、内容が適正かどうかを判断しやすくなります。
「◯工事一式 ■円」のような見積もり書は工事内容がわからず、後から追加費用が発生する可能性があるため、注意が必要です。
Q.耐震補強をしていない築40年以上の中古住宅は買わないほうがいい?
A.耐震補強をしていない築40年以上の中古住宅は、耐震診断を実施し、居住までに発生する費用を確認したうえで、購入を検討してください。
耐震診断は、自治体の補助金を活用して無料で実施できるケースがあります。
また、リフォームの依頼を前提として、無料で耐震診断を実施している施工業者もあります。
施工業者は中古住宅の購入判断に関するアドバイスも可能なので、早い段階で依頼する施工業者を決めることをおすすめします。
栃木市や周辺市町村で耐震補強を含むリフォーム・リノベーションを検討中の方は、とちぎリフォームへお問い合わせください。
ご予算などの要望を伺ったうえで住宅の現状を丁寧に確認し、最適なプランを提案いたします。
まとめ
築40年など古くなった一戸建ての耐震補強について、工事の内容・費用などを紹介してきました。
耐震補強は補助金・減税などの優遇制度を活用することで、費用を抑えて実施できます。
ただし住宅の現状などによって必要な工事内容が変動するため、今回紹介した情報を参考に、スムーズに工事プランを検討していただけると幸いです。