高齢者が使いやすいキッチンのレイアウト|安全で快適なリフォームの工夫を紹介

高齢になると、日常動作にさまざまな不自由が生じやすくなります。
そのため、ご自身やご家族が高齢になったことを理由にキッチンのリフォームを検討される方もいらっしゃいます。
キッチンは、火や刃物を使い、立ち作業が多いため、転倒ややけどなどのリスクが高い場所です。
安全で快適に使い続けるために、リフォーム・リノベーション専門店『とちぎリフォーム』が、年齢に合わせたキッチンレイアウトの工夫を紹介します。
Contents
高齢者が使いやすいキッチンにするためのレイアウトの工夫

年齢を重ねても使いやすいキッチンにするためには、設備の入れ替えだけでなく、動きやすく負担の少ないレイアウトにすることが大切です。
調理しやすい動線を意識した「ワークトライアングル」の活用
高齢者がスムーズに調理を行うためには、「コンロ・シンク・冷蔵庫」の3点を結ぶワークトライアングルを意識することが重要です。
これは、調理中に頻繁に行き来する冷蔵庫、シンク、コンロを三角形に配置し、移動距離を最小限に抑える考え方です。
三辺の合計が約360cm〜660cm程度に収まると、無理のない動作で作業がしやすくなると言われています。
- シンクから冷蔵庫までの距離:120~210cm
- 冷蔵庫からコンロまでの距離:120~270cm
- コンロからシンクまでの距離:120~180cm
食器や家電などを収める背面や周辺収納のレイアウトにも配慮することで、さらに動きやすく、使いやすいキッチンレイアウトを実現することができます。
間取りのタイプに合わせた動線の確保も重要
キッチンの間取りも、使い勝手に大きく影響します。
以下のような代表的なタイプがあります。
- 独立キッチン
- オープンキッチン
- セミオープンキッチン
間取りそれぞれのメリット・デメリットを考慮した上で、ご家族に合うタイプを選択しましょう。
栃木県での高齢者向けキッチンリフォームをご検討中の方は、実績豊富な「とちぎリフォーム」へお気軽にご相談ください。
高齢者にやさしいキッチン設備の選び方

レイアウトとあわせて、設備も高齢者の身体や生活スタイルに配慮したものを選ぶことで、安心して使えるキッチン環境になります。
作業しやすいキッチンの高さに調整する
キッチンの作業台の高さは、使う人の体格や調理スタイルに合わせて調整することが大切です。
一般的には80〜85cm程度が目安ですが、高齢者の場合は67〜75cm程度が適しているとされています。
立ち作業がつらくなってきた方には、椅子に座ったまま作業できるスペースを設けるのもおすすめです。
膝が入るようにカウンター下をオープンにすることで、調理や洗い物がラクになります。
IHコンロへの交換で火のリスクを軽減
高齢者向けのキッチンには、火を使わないIHクッキングヒーターが多く採用されています。
鍋底だけを加熱する構造のため、うっかり袖が触れてもやけどしにくく、消し忘れ防止機能など安全面の配慮も充実しています。
点火・消火の操作が簡単で、視認性の高いタッチパネル式の製品も多いため、高齢者でも安心して使うことができる点がおすすめです。
明るさを確保して手元の見えづらさを解消
高齢になると視力が低下し、暗がりでの作業が危険につながることもあります。
キッチン全体をしっかり照らすことは、安全性を高めるうえで重要です。
作業台やコンロ周辺には、手元を照らす補助照明の設置がおすすめです。
壁や扉などには白や淡い色を使うことで、全体の明るさを向上させ、視認性の高い空間をつくることができます。
断熱性を高めてヒートショック・足元の冷えを防止
冬場のキッチンは足元が冷え込みやすく、高齢者にとってはヒートショックのリスクがある場所です。
床や壁、窓の断熱性を高めることで、室温差を抑え、身体への負担を軽減できます。
断熱性を高めることでエアコンや暖房器具の効率も向上し、光熱費の節約もできる点もメリットです。
出し入れしやすい収納機能で日々の負担を軽減
キッチンでは毎日、調理器具や食材、食器類の出し入れを行います。
高齢者向けのキッチンリフォームでは、腰から胸の高さに日常的に使うものを集約できる収納計画が理想的です。
高い位置や足元奥の収納に頼らずに済むよう、引き出し式のキャビネットや、上下に昇降する吊戸棚などの機能を取り入れることで、より安全に効率よく作業を行えるようになります。
収納の見直しは、日々の使い勝手を大きく左右するだけでなく、調理中のストレスや疲労の軽減にもつながる大切なポイントです。
栃木県での高齢者向けキッチンリフォームをご検討中の方は、「とちぎリフォーム」へお気軽にご相談ください。
高齢者向けキッチンリフォームの費用の目安

高齢者の使いやすさに配慮したキッチンリフォームは、目的や工事範囲によって費用が大きく異なります。
代表的なリフォーム内容ごとの費用の目安は以下のとおりです。
リフォーム内容 | 費用の目安 |
---|---|
キッチン全体のリフォーム(位置変更など含む) | 約80万〜約400万円 |
システムキッチンへの交換 | 約40万〜約80万円 |
IHコンロへの交換 | 約5万~約25万円 |
手元灯の追加設置 | 約1万~約2万円 |
昇降式吊戸棚の導入 | 約5万~約15万円(手動) 約20~約30万円(電動) |
引き出し式収納への変更 | 約30~約60万円 |
キッチン床の断熱材施工 | 4,000~10,000円/㎡ |
上記はあくまでも目安です。
実際の費用は、選ぶ製品や現場の状況、工事内容によって異なるため、事前に見積もりを取ることをおすすめします。
一階全面のリフォーム費用については、下記の記事も参考にしてください。
〈関連ページ〉一階全面リフォームの費用の目安|500万・1000万でどこまでできるかを解説
高齢者向けキッチンのレイアウト変更の費用を抑えるコツ

高齢者向けのキッチンリフォームは、安全性や快適性を重視する分、オプションや設備が増え、費用が膨らむ場合があります。
費用を抑えるための主な方法は以下のとおりです。
- 住宅改修費の支給制度を活用する
- 各自治体の高齢者向け補助金を確認する
- 不要な工事を省き優先順位を明確にする
「住宅改修費」の支給制度を活用する
住宅改修費の支給制度は、介護が必要な方が自宅で安全に暮らせるようにするための住宅改修工事に対して、費用の一部を公的に補助する制度です。
主に介護保険が適用されます。
項目 | 内容 |
---|---|
対象となる人 | ・要支援1・2または要介護1~5の認定を受けている方 ・自宅で生活している方 (施設や病院に入所中は原則対象外) |
対象となる工事 | ・手すりの取り付け ・段差の解消(スロープ設置など) ・滑り防止や移動しやすくするための床材変更 ・扉の交換(引き戸化など) ・洋式トイレへの便器交換 ・上記に付帯して必要な工事(下地補強など) |
支給される金額 | 20万円が上限で、工事費用の7割~9割が支給 (所得によって異なる) |
住宅改修費の支給制度を活用するには、工事前に申請が必要となるため、対象となるかどうかは事前に市区町村の窓口やケアマネージャーに相談しましょう。
国や各自治体の高齢者向け補助金を確認する
国や自治体では、高齢者世帯を対象とした住宅リフォーム支援制度を独自に設けています。
栃木県内には以下のような補助金事業があります。
事業名 | 補助額 |
---|---|
長期優良住宅化リフォーム推進事業 (住宅の長寿命化、三世代同居対応改修など) | 上限最大160万円/戸 |
既存住宅の断熱リフォーム支援事業 (高性能建材を用いた断熱改修) | 最大120万円/戸 |
高齢者にやさしい住環境整備事業 (宇都宮市) | 上限90万円 |
各市町村の住宅リフォーム補助金 (地元業者による住宅リフォーム) | リフォーム工事費の10% (上限10~30万円程度) |
栃木県内で活用できる補助金については、以下の記事でも紹介しています。
〈関連ページ〉栃木県の住宅リフォーム補助金一覧|対象工事や宇都宮市など主要市の内容も紹介
〈関連ページ〉小山市の住宅リフォームで活用できる補助金制度|申請方法や注意点も解説
不要な工事を省き優先順位を明確にする
全面的なキッチン改修を希望する場合でも、すべてを一度に行うのではなく、「転倒防止」「調理のしやすさ」など生活に直結する部分から優先的に整備するのがおすすめです。
既存のレイアウトや設備を活かしながら、必要な部分だけを入れ替えることで、コストを抑えつつ満足度の高い仕上がりを実現できます。
施工事例紹介|高齢のご家族のためにキッチンをリフォーム

ここでは、高齢のご家族の暮らしを支えるために実施したキッチンリフォームの事例をご紹介します。
壁を抜いてLDKを一体化|南向きキッチンで明るく快適に
2×4工法のため間取り変更が難しいと思われていた住まいで、構造をしっかり確認した上で壁を抜き、リビングとキッチンを一体化したLDKにリフォームしました。

〈関連ページ〉築20年の2階建て、木造2×4工法住宅のお家のキッチン交換
キッチンは、メンテナンス性の高いタカラスタンダードのホーロー製を採用しました。
使いやすさを重視し、カップボードやゴミストッカーも設置しています。

床には薄型のフローリング材「ウスイータ」を重ね張りし、壁紙や照明も一新し、明るく快適な空間に仕上がりました。
家事動線を改善|L型キッチンで毎日の作業がスムーズに
古くなった水回りの改修をきっかけに、使い勝手の良いL型キッチンへリフォームしました。

〈関連ページ〉家事動線を便利に!L型の使いやすいキッチンに。
家事動線を短くし、調理や片付けの負担を軽減しています。
使っていなかった洋室を新たにリビングとして活用し、居間だった和室や浴室・洗面所もリニューアルしています。

出入口の配置にも配慮し、家の中を移動しやすい動線へと整えました。
とちぎリフォームには、今回紹介しきれなかった事例がまだたくさんあります。ぜひごらんください。
まとめ
高齢者にとって、キッチンの使いやすさはそのまま安全性につながります。
立ち座りや移動のしやすさ、明るい照明、扱いやすい設備などを整えることで、転倒や事故のリスクを減らし、自立した生活を支えることができます。
こうしたキッチンづくりには、住まう人に合わせたプランの提案が必要です。
栃木県での高齢者向けキッチンリフォームをご検討中の方は、「とちぎリフォーム」へお気軽にご相談ください。